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小さな独り言


開始前のブリーフィング。
いやでも緊張感が高まります。


水中待機場所。
私はEチーム。
一番遠いし深い・・・・・



今回使用した水中警報装置。
「ピーピーピー・ピーピーピー・ピーピーピー」
「ツナミガキマス。速やかに避難してください。」
のリピート。
半径500mは聞こえるらしいけど、
深度や地形にも左右されるとの事。
あと、フードかぶってたら聞こえずらい。。。


この警報装置、高価な物らしく、
たとえば、このビーチに常設するとしたら、
買わなきゃいけないわけで、
そうなると、漁業協力金とか、施設使用料とかと別に、
警報装置設置料とかもらってもいい?
なんて話もありました。
いくらならいい?(笑)



水中からのショット。





14日の朝日新聞の朝刊。
がんばってるでしょ?まじめな顔して。(笑)

ちなみに訓練当日の夕方、朝日放送の「キャスト」という番組でも
取り上げてくれて、チラッと?いや、けっこうしっかり映っております、私。
〜津波避難訓練〜

2012/11/13 紀伊大島須江ダイビングセンターにて、
津波避難訓練に参加してまいりました。

ダイビング中に津波が予想されるような
地震が起こった場合、
どのように対処し行動すべきか?

われわれイントラはもちろんですが、
ゲストの皆様にも、訓練として経験していただきたい。
そのために、今回はプロダイバーのみで
実際に行い検証。

なにせ、水中警報装置を使っての訓練は
西日本では初めて。
で、この規模での訓練は日本初。
周りはみんな現役プロダイバー。
プロのカメラマンさんも居るし、
TVカメラも新聞社さんも取材に来てるし・・・

久しぶりにいい緊張感をもって、海に入りました。(笑)


感じた事、伝えたいこと、たくさんあります。
長く書くと思います。
ほんとは、いつも通り、面白おかしく茶化して書きたいけど、
ちょっと無理かも。。。。話題が話題だし。(笑)

まあ、でもなんとなく書きだしちゃいましたので、
なんとなく書いていきます。(笑)
決してお茶らけた訓練ではなかった事だけはご理解ください。


で、お時間のあるときにでも、ゆっくり読んでくださいまし。



訓練の想定はこうです。

11月13日 AM11:14 潮岬沖30km深さ10kmを
震源とするM8.0の地震が発生。
串本町は震度6強の大きな揺れを確認。
内浦ビーチには、23名のダイバーが潜水中。
エキジット後のダイバーが2名。
同日、AM11:15 近畿地方南岸および、東海地方南岸に
津波警報が発令。
津波到着まで最短で12分。

・・・・・なんか、書いてたらまた怖くなってきた。(笑)
なんて単純な私。。。
でも、この緊張感は大切。

で、続けます。(笑)

で、われわれの目標は、
警報から5分以内に水面に浮上し、
20分以内に海抜20mまで避難。


まず陸班とA・B・C・D・Eの6チームに分かれる。

陸班:エキジット後の2名。
ダイビングは終了していて、片付け時に地震発生。
イントラ役1名 ゲスト役1名 計2名。

Aチーム:安全停止中。
イントラ役1名 ゲスト役2名 計3名。

Bチーム:水深12m。潜行中。
エントリーしたばかりで潜降中。
イントラ役1名 ゲスト役4名 計5名。

Cチーム:水深16mで潜水中。
イントラ役1名 ゲスト役4名 計5名。

Dチーム:水深21mで潜水中。
イントラ役1名 ゲスト役4名 計5名。

Eチーム:水深21m以深で潜水中。
エキジットポイントまで最も遠く、深い。
イントラ役1名 ゲスト役4名 計5名。

あらかじめ、チームわけされてたわけで、
わたくし、うむもいわさず、Eチームでございます。
Eチーム、ゲスト役。ダイブシーン蓮池でございます。

というわけで、各チーム、所定の場所にて待機。
われわれは水深24m。
もちろん、エントリーは1番最初。AM10:54。
一番遠い、一番深い「所定の場所」まで、
どこにも寄らず、一直線。
途中、イッポンテグリに出会ったけど。(笑)
「この辺りで待ちましょうか」と
イントラ役の人がスレートに書いたのが、AM11:00。
・・・・・警報まで15分。長いぞ。(笑)

ちょうどミジン君が居たので、着底し、しばし待機。
セミホウボウも寄ってきた。
カメラ持たずに入るとやっぱりいろいろ出てくる。(笑)

私の時計では、AM11:14、警報音がかすかに聞こえた。
2mmのフード越しでかすかに。

各チームの行動は、

津波警報が発令されたら、
警報音のスイッチは陸班が押す。
それからアシストロープとブイの設置、
エキジット用のロープ投下。
エキジットしてくるダイバーの補助。

津波が到達する直前ってものすごく潮が引くそうで、
常設のラダー(はしご)が水面に出てしまう可能性があるらしい。
その場合を想定してのロープね。
ところどころに結び目があって上れるようになってる。

Aチーム。
警報音確認後、安全な速度で水面へ。
ラダーを使って通常にエキジット。

警報後の水面到達時間 11:16”30
全員エキジット 11:18”00

警報から全員エキジットまで 3”00

その後、陸班とともにエキジットしてくるダイバーをアシスト。
BC・ウエイト・ロープを使い、アシストロープ・ブイの設置。

Bチーム。
警報後、潜降を中止し、安全な速度で浮上。
イントラ役は浮力確保の指示。
アシストロープをつたい、ラダーにてエキジット。
全員エキジット確認後、警報音確認後の経過時間を伝える。
(例)「警報確認後3分が経過しました!」
器材脱装後、マスク・フィンを持ち、
その他の器材が避難経路の妨げにならないように、移動。
ゲスト役4名は高台へ避難。
イントラ役は、救助作業を手伝う。

警報後の水面到達時間 11:17”40
全員エキジット 11:19”15

警報から全員エキジットまで 4”15

Cチーム。
警報確認後、エキジットポイントまで水面では移動できないと判断。
水底近くでいつでも体を固定できるように指示。
(引き波に対処するため)
水底を這うように進みながらエキジットポイントへ。
エキジットポイントにて浮上後、アシストロープをつかみ、
浮力確保。警報確認後の経過時間を伝える。
イントラ役の指示にて、ゲスト役4名はウエイト脱装。
イントラ役はウエイト装備のまま、ラダー下にて、
ゲスト役のフィンをはずしラダーにてエキジット。
マスクとフィンをもってゲスト役4名は高台に避難。
イントラ役は、極力高い位置で水面の状況確認。
できれば救助作業を手伝う。

警報後の水面到達時間 11:20”40
全員エキジット 11:24”00

警報から全員エキジットまで 9”00


Dチーム。
警報確認後、エキジットポイントへ向かい、
コントロールアセントにて斜めに浮上。
水面到着後、浮力確保の指示。
警報確認後の経過時間を伝える。
グループ全員にコンタクトを取り、アシストブイまで
レギュレター呼吸にて水面移動。
アシストロープ到達後、イントラを含む全員が水面にて、
ウエイト、BCユニットを脱装。
スノーケル呼吸でアシストロープをつかみながら、
ラダーよりエキジット。
ゲスト役はマスクとフィンを持ち、イントラの指示にて
高台へ移動。イントラ役は、救助作業を手伝う。

警報後の水面到達時間 11:19”30
全員エキジット 11:24”00

警報から全員エキジットまで 9”00

-----------------------------------------
ここで、陸での救助作業者は、身の危険を感じ、
いっせいに高台へ避難。

以降のエキジットダイバーのために
「赤いタオル」ラダーに結びつける。
赤いタオルがあるということは、
いよいよ危ないからみんな避難しましたという意味。
陸でのアシストは受けられないので自力でエキジット。
-----------------------------------------
で、われわれ、Eチーム。
警報確認後、グループをコントロールしながら、
水深12mまで垂直に浮上。
水深12mからエキジットポイントを目指し、
斜めに浮上しながら移動。
浮上後イントラ役は全員にコンタクトを取り、浮力確保の指示。
警報確認後の経過時間を伝える。
アシストブイまで水面移動。
アシストブイでスクーバ脱装。
スノーケル呼吸でアシストロープをつかみながら、
ラダーよりエキジット。
マスクとフィンを持ち、イントラ役とともに速やかに高台へ移動。

警報後の水面到達時間 11:19”40
全員エキジット 11:24”50

警報から全員エキジットまで 9”50


津波到達予想時間は最短でも12分なので、
とりあえず、皆、無事にエキジットは完了。
今回の設定は20分以内に高台へ避難なので、
残り約10分。
ここから高台への避難。

で、「マスクとフィンをもって・・・・」は、
もし津波が来てしまった時に、あると便利だから。
今回は捨てずに、しっかり持って高台へ移動です。

高台への移動パターンは以下のとおり。

・全力疾走。3名。

・早い足取りで歩行して避難。5名。

・片足を負傷したダイバーを2名で支えながら避難。5名。
負傷者役1名、残り4名で交代しながら。

・意識の無いダイバーを5名で担ぎながら避難。10名。
意識不明役1名、残り9名で交代しながら。

高台の避難場所は消防団。
海抜20m。

南海トラフによる巨大地震が発生した場合の
予想される津波の大きさは、
串本町で16.0m。
美浜町が一番高くて17.9m
なので海抜20mまで避難できれば・・・・という想定。

われわれは、海から上がったばかり。
海抜0m。
約300mほどある消防団は海抜20m。
・・・・結構な坂道なのでございます。

全力疾走。 3”45
歩行 5”20
負傷者 6”30
意識不明者 7”00

あ、私は意識不明者を担ぎました。
結構てか、かなりしんどいです、はい。

データについては、私がさっとメモしてきたものを
今は使ってます。
後日、須江から、すべてまとめたデータをいただけるので、
ちょっと修正するかもしれませんが。

とりあえず、現状、私の元にあるデータで、
私が行った事を集計すると、

水深24mでダイビング中に津波警報が発令され、
エキジットするまで = 9”50
エキジットしてから、意識不明者を海抜20mの高台まで、
移動させる = 7”00

所要時間 16”50

目標は、
警報から5分以内に水面に浮上し、
20分以内に海抜20mまで避難。

見事達成。

ちなみに、陸班を除いて一番早いチームは、
所要時間 6”45

私は、Eチームで、
エキジットポイントから最も遠く、深い所から避難を始めて、
高台まで意識不明者を担いだので、
一番時間のかかったチームでございます。

でも、16”50で避難完了。

でもね。
これは訓練であって、しかも全員現役プロダイバー。
すんなり行き過ぎてラダーで若干待ち時間があったとはいえ、
避難まで約17分。

誰か一人がパニクッたり、トラブルがあったり、
自分勝手な行動をとるようなことがあれば、
なんて考えると、やっぱり怖いね。

まあ、普段は、地震なんか来ないし、
津波なんて関係ないなんて思って生活してたり、
ダイビングしてたりするけど、
実際、東北の方々もそうだったと思う。


「事」が起こるのは、

突然だから。
何の準備させてくれないから。
何の打ち合わせもさせてくれないから。


今後この先、もし機会があれば、
皆様もぜひ訓練にご参加ください。

西日本では今のところ、
2013/3/10(日)に予定されてます。

水中で警報音はどのように聞こえるか知ってますか?
水面までコントロールされたスピードで安全に浮上できますか?
水面で、スクーバユニットの脱装はスムーズにできますか?
マスクとフィン持って全力疾走できますか?
意識不明者の運搬方法、ご存知ですか?

地震が来るかもしれない。
津波が来るかもしれない。
と、おびえて生活するんではなく、

起こった時の対処、行動。
身に着けておいても損はしません。
もしかしたら、一人でも多くの人を救えるかも知れない。
まあ、そこまで大それた事は無いとしても、
人様に迷惑のかかる行動は取らないかと。(笑)

で、これも大事なことなので書き加えておきますが、
今回の訓練では、
陸での救助作業は警報から12分経過した場合、
もしくは身の危険を感じた場合は、
救助作業を中止して速やかに高台へ避難。

これは単に言い方は悪いですが、
「見捨てる」んじゃなく、
「自分の身を守る」を優先しなさい。ということ。

いや、実際難しいだろうけどね。

こういう天災は、

プロダイバーだろうが、
ベテランダイバーだろうが、
ダイバーになったばかりであろうが、
女性だろうが、男性だろうが、
子供だろうが、大人だろうが、
みなに同じように起こります。

だから訓練だって、
プロダイバーだろうが、
ベテランダイバーだろうが、
ダイバーになったばかりであろうが、
女性だろうが、男性だろうが、
子供だろうが、大人だろうが、
みなに同じように訓練した方が良いに決まってるんです。




ここまで読んでいただいてありがとうございます。

でもさ、どこかで他人事じゃないですか?
私にはあまり関係ないとか。
私はベテランだから大丈夫とか、
私なんかが訓練に参加したら迷惑かけそうとか。
いいんだ、地震来たらあきらめるとか。(笑)

大半の人がそうなのかも知れませんし、
私もそうでした。
でもさ・・・本当に起こっちゃったらどーするの?


ちょっと気になるし、やってみたいな。
なんて、どっかで思ってるでしょ?

そしたら少しうれしーんだけどね。
そう思ってもらえるように書いてますので。


やってみたら良いですよ。
ためらうことなんて何も無いですし、
訓練ですから。お気軽に。

私は今回、非常にいい経験をさせていただきました。
ダイビングインストラクターとしてだけでなく、単に人として。
企画された須江ダイビングセンターさんに感謝してます。
また今回、水中警報装置を用意してくれた、
株式会社ZEROさんにも。
ありがとうございました。

そして、Eチームの皆さん。
他のチームの皆さんも、お疲れ様でした。


今後、私の行ける範囲で同様の訓練がある場合は
必ず参加しようと思います。
私一人であろうが、もちろん行きますが、
行きたいと言ってくれる人が一人でも多くなってくれたら、
うれしいと思います。

とりあえず次回は2013/3/10です。

ぜひぜひご参加ください。
よろしくお願いいたします。




2012/11/15 Keiji Hasuike





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