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小さな独り言

トラギス

2008年 05月 28日 和歌山県 田辺 南部出し
「トラギス」
〜おじゃまむし〜

ハゼ類を粘って写真を撮ったことのある人は
わかるであろう。

「トラギス」

間違いなくおじゃまむしだ。
彼には悪いがもう一度書く。
おじゃまむしだ。

好奇心旺盛の彼は、
「おめあて」を見つけ、そっと、砂煙を上げないようにそっと、
着底し、はいつくばり息を整え、
ファインダーを覗き、じわ〜っと「おめあて」に近づく私に、

「ねえ!おまえ、何してんだ?ねえ、ねえって!」

このときの「おめあて」は「ヒレナガネジリンボウ」。
一つの巣穴から2匹出てた。

彼が来る前は。。。

見張り役の「オグロクロユリハゼ」はさすがにとっくに
巣穴へ引っ込んでしまっているが、
彼が来る前まではこちらに警戒しつつも、
2匹の「ヒレナガネジリンボウ」が私のファインダーの中に居た。

彼が来る前は。。。

「・・・・・」
無言の私に、

「だから、何してんだって?旨いもんでもあんのか?このやろう??」

「人間」と言う生き物は、あまりに腹が立つと無口になる。
「人間」ぢゃなく、「私」と表現するべきだろうか?(笑)

「なんだか、怒ってる?もしかして?」
「・・・・・・」
「でもなんかあるんでしょ?そこに?そんなにライトで照らしちゃって」
「・・・・・・」
「わかった。。。大事なものなんでしょ。。。ちと見してみって。」
「・・・・・・・」

必要に巣穴の近くをうろうろする彼。
もちろん「ヒレナガネジリンボウ」は出てくるはずも無い。
こんなうっとうしい彼がちょろちょろしてるのでは。。。

この時の潮の流れは若干左から右。
だから、右手をできるだけ伸ばして、少し掘ってみる。
シャッターは右手だが致し方ない。
左を掘ると、舞い上がった砂利が映りこむ。
だから、届く範囲で右側を訳ありげにごそごそと掘る。
すると、

「なんだ、ほんとはこっちに隠してたんだな。なになに??」
思惑通り、彼は興味深そうに巻き上げられる砂利を見上げる。

「よし、よし、このスキに・・・」
と、思ったのは、もちろん私ともう一人、
「ヒレナガネジリンボウ」。
この様に、撮る側、撮られる側の気持ちが一つになると、
いい写真が撮れる訳でございます。(笑)
ということで言えば、彼もまた必要な訳で。(笑)

「ちきしょ、だまされた、なにもないじゃん。。。」
ブス〜とむすくれる彼に声を掛け、

「こっち向け、折角だから撮ってやる。」

「えっ?あっ!!」
「カシャ。」

振り向きざまのムスクレ顔。(笑)
・・・・に見えるのは私だけかな?



2008/05/31 Keiji Hasuike





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